■ マレー語とは?

 マレー語(マレーシア語)の特徴について簡単に説明します。
詳しくは、『CDニューエクスプレスマレー語プラス』をご覧ください。



1. 東南アジアで広く話されているマレー語

 マレー語はマレーシア、シンガポールの国語です。7世紀にスマトラ東海岸およびマレー半島で話されていたマレー語(ムラユ語 Bahasa Melayu)が起源となり、現在は、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、フィリピン南部、タイ南部など東南アジアの広範囲で話され、マレーシア、シンガポール、ブルネイの公用語です。
インドネシアの国語であるインドネシア語もマレー語が起源でマレー語と共通する部分も多く、コミュニケーションは可能ですが、発音や語彙の面では違いが見られます。

2. アルファベット表記でローマ字読み

 マレー語はローマ字のアルファベット26文字で表記し、読み方は英語と同じです。

大文字
小文字 a b c d e f g h i j k l m
発音 a bi ci di i ef ji ec ai je ke el em
エー ビー スィー ディー イー エフ ジー エイ(チ) アイ ジェー ケー エル エム
大文字
小文字 n o p q r s t u v w x y z
発音 en o pi kiu ar es ti yu vi dabliu eks wai ze(t)
エン オー ピー キュー ア(ル) エス ティー ユー ヴィー ダ(ブ)リュ エ(クス) ワイ ゼッ(ト)

3.単語の語形変化はない

 マレー語の名詞には単数、複数の区別がなく、主格(~は)、所有格(~の)、目的格(~を)などの格変化、および男性名詞、女性名詞の区別もありません。また、動詞の活用変化もありません。覚える単語は少なくても、すぐに簡単な会話ができるようになります。

4.繰り返しの言葉が多い

 マレー語は日本語と同様に、通常、名詞の単数と複数を区別しません。しかし、日本語に「人々」「家々」などの表現があるように、マレー語も名詞を重複させると複数を表します。ただし、単語の重複が必ずしも複数を表わすとは限りませんので、注意しましょう。

(1)複数を表わすもの
   budak  子供 → budak-budak  子供たち
   pulau 島   → pulau-pulau 島々

(2)単独では意味をなさないもの
   biri-biri  羊
   kupu-kupu   蝶

(3)単独の場合、意味が異なるもの
   gula  砂糖 → gula-gula   飴
   mata 目   → mata-mata スパイ


5.単語の構成

マレー語の単語には語形変化がなく、もとになる単語、すなわち語幹に接頭辞や接尾辞を付け加えたり、複数の語幹を組み合わせたりして派生語を形成します。
 たとえば、adaという語幹を例に挙げてみましょう。adaは、接頭辞や接尾辞がつくことにより、次のように意味が変わります。

 語幹のみ                  → ada           ある、いる
 語幹 + 語幹                → ada-ada       あれこれ言う、起きる
 語幹 + 接尾辞-an            → ada-adanya      すなわち、ありますよ
 接頭辞ter- + 語幹            → berada        いる、裕福な
 接頭辞me- + 語幹 + 接尾辞-kan  → mengadakan    行なう、開催する
 接頭辞me- + 語幹 + 接尾辞-an  → keadanan      状態


6.基本文型

 基本文型は「主語+述語」ですが、主語が省略されることもあります。目的語は動詞の後に置き、文頭は大文字で文末に「 .(titik)」を付けます。

(1)主語+述語(名詞、形容詞、動詞)

   名詞   Saya mahasiswa.    私は大学生です。
         私+大学生

   形容詞  Dia rajin.         彼は勤勉です。
         彼+勤勉な

   動詞   Mereka pulang.     彼らは帰ります。
         彼ら+帰る

(2) 述語(形容詞、動詞)   *主語の省略

   形容詞  Sangat panas.      (今日は)とても暑いです。
         とても+暑い

   動詞   Minum.          (あなたは)飲みなさい。
         飲む

(3) 主語+動詞+目的語

   Kami naik bas.          私たちはバスに乗ります。
   私たち+乗る+バス


7.名詞の修飾

 修飾語は名詞の後に置き、日本語と語順が全く逆になります。ただし、数字や数量に関する語は、名詞の前に置きます。一部の単語は名詞と修飾語の位置によって意味が異なることに注意しましょう。

(1) 名詞+修飾語(+修飾語)

  rumah itu             その家
  家 + その

  mobil merah ayah saya   私の父の赤い車
  車 + 赤い+父 + 私


(2) 数詞(数量に関する語)+名詞

  tiga hari            3日
  3 + 日

  banyak kereta         多くの車
  多い + 車

(3) 名詞と修飾語の位置によって意味の異なるもの

  ramai orang 多くの人     orang ramai  大衆、民衆
  多い+人           人+多く

  air mata 涙     mata air   泉、恋人
  水+目       目+水


8.時制

 マレー語には時制による動詞の語形変化がないため、時制はその場の状況、もしくはイントネーションで判断します。たとえば、Budi datang. は、状況によって「ブディは来ます」「ブディは来ました」「ブディは来るでしょう」のいずれも可能になります。
 時制を明確にさせるには、minggu lalu「先週」、sekarang「今」、nanti「のちほど」など時を表す語やakan「~する予定だ」、sedang「~している最中」など時制の助動詞を用います。


9.疑問文

 平叙文を疑問文にするには次の3つの方法があります。
疑問文の文末には「?」を付け、文末のイントネーションを上げて発音します。

平叙文                           Dia datang. ↘
                               彼は来ます。

疑問文1 平叙文+?(文末を上げて発音)     Dia datang? ↗
                               彼は来ますか?

疑問文2  Apakah「~ですか」+平叙文+?    Apakah dia datang? ↗
                               彼は来ますか?

疑問文3 平叙文+接尾辞-kah「~ですか」+?  Dia datangkah? ↗
                               彼は来ますか?


10.否定文

  名詞を否定するにはbukan、形容詞と動詞を否定するにはtidakをそれぞれの品詞の前に置きます。

(1)名詞の否定
  Ini bukan gula.         これは砂糖ではありません。
  これ+~ではない+砂糖

(2)形容詞の否定
  Mereka tidak sibuk.       彼らは忙しくありません。
  彼+~ない+忙しい

(3)動詞の否定
  Kami tidak pergi.         私たちは行きません。
  私たち+~ない+行く


11.よく使われるフレーズ

 日常会話によく使われるフレーズを覚えましょう。

(1) おはようございます。こんにちは。こんばんは。
  Selamat pagi.   (朝)
  スラマッ パギ





  Selamat tengah hari.  (昼)
  スラマッ トゥンガ ハリ





  Selamat petang.  (夕方)
  スラマッ プタン(グ)





  Selamat malam. (夜)
  スラマッ マラム





(2) お元気ですか?
  Apa khabar?
  アパ カバル





  元気です。
  Khabar baik.
  カバル バイッ




(3) ありがとう。
  Terima kasih. 
  トゥリマ カスィ





  どういたしまして。
  Tak mengapa.
  タッ ムガパ





(4) さようなら。   * (1)と同じフレーズが別れ際にも使われます。
  Selamat pagi.   (朝)
  スラマッ パギ





  Selamat tengah hari.  (昼)
  スラマッ トゥンガ ハリ





  Selamat petang.   (夕方)
  スラマッ プタン(グ)





  Selamat malam.  (夜)
  スラマッ マラム





(5) またお会いしましょう。
  Jumpa lagi.
  ジュンパ ラギ